99年前の神社めぐりガイドブック『神詣で』
大正8年(1919年)に、鐵道院(!)から発行された『神詣で(かみまうで)』という、当時の神社巡りガイドブックを読んでいる。B6サイズで厚みは20ミリ強。もちろん古書店で入手したもので、経年変化もさることながら、99年前にもどなたかがこれを持って、全国の神社巡りをされたのだろうと容易に想像できるボロボロさ加減。
鐵道院発行だから、全国の鉄道路線順に神社が並んでいる。「目次ノ一」は、路線に関係なく別格、いや格式外の「神宮」(いわゆる伊勢神宮)から始まって、東海道線、中央線、関西線、北陸線....と続く。北は樺太から南は台湾まで。「目次ノ二」は、やはり「神宮」から始まって、官幣大社、官幣中社、官幣小社、別格官幣社、国幣大社....と「社格」順に並んでいる。おりたたみ付録の「祭神系統表」が素晴らしく面白い。イザナギ、イザナミから始まって、すぐその次がアマテラス、スサノヲやツクヨミは系図でいえばずっと下の方。サルタヒコは系統未詳として系図の裏側だし、サルタヒコが御祭神は「官幣大社稲荷神社」(現在の伏見稲荷大社のこと)としか記載されず、アメノウズメの「ウ」の字も出てこない。(「大宮女神」をアメノウズメとする説もある。そしてこのオオミヤノメノカミも稲荷神社(現在の伏見稲荷大社)と記載されている。)オオクニヌシを御祭神とする神社が大神神社だったり、とか。
『古事記』『日本書紀』、『続日本紀』などの「六国史」より、おそらく『古語拾遺』(807年 斎部広也 編纂)の影響が強い配列だと思われるが、神社ごとの頁もとても面白い。当時の神社の様子がよくわかる。微妙に社名が変わっていたり、記載されているのにもう無くなってしまった神社もあれば、現在かなり大きな神社なのにこの本には無かったりする。そこがまた面白い。私的には、現地を歩いて、出来るだけそこで出会った人々や神職さんからお話を伺ったり、由緒を詳しく伺ったりする楽しさに加えて、99年前の神社めぐりを勧める側(鉄道院)と読者(参拝者)の様子を想像するのが何とも楽しいのだ。
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